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関連医学用語集

さ行

サイトカイン

細胞などが分泌する低分子蛋白で、生理作用を有した様々な物質の総称です。免疫細胞が分泌する様々な物質が中心的役割を果たしています。代表的な物質として、「インターフェロン」「インターロイキン」などがあります。

細胞性免疫

リンパ球を中心にした免疫担当細胞による免疫システムのことです。体外から侵入する細菌やウイルスなど(抗原物質)を直接的に攻撃します。免疫担当細胞には、異物を自ら取り込んで消化する「食細胞」、免疫活性物質を放出する特殊な「リンパ球」などが多数存在し、炎症反応から多段階増幅的に免疫系が活性化されるようになっています。

サクソンテスト

本検査専用のガーゼを口内に含み、一定の速度で2分間に120回ガーゼを噛むことで分泌される唾液量を測定します。唾液量の測定にあたっては、重量(g:グラム)で評価を行います。この試験方法により、唾液分泌量が2分間に2g以下であった場合には、異常(口腔乾燥症:ドライマウスが強く疑われる)と判定されます。シェーグレン症候群の診断に有用な方法であり、診断基準の一項目になっています。同様な検査に、ガムを用いて唾液分泌量を測定する「ガムテスト」という方法があり、いずれかを選択することがシェーグレン症候群の診断基準で規定されています。

サラゾスルファピリジン

抗リウマチ薬に属し、抗リウマチ作用が中程度の薬剤に分類されます。通常、投与開始後1〜2ヶ月で効果が現れてきます。

サリチル酸誘導体

非ステロイド性抗炎症薬の中で、サリチル酸という物質に化学構造が似ている薬剤群のことです。代表的なものに、「アスピリン」が挙げられます。

サルコイドーシス

肺、肺周辺のリンパ腺、眼、皮膚、心臓などの組織にマクロファージやリンパ球が増殖するために、肉芽腫と呼ばれる組織の塊ができる全身性の疾患です。自然に治ってしまうことも多いのですが、専門医の受診が必要です。シェーグレン症候群を合併することがあります。

ザルトプロフェン

非ステロイド性抗炎症薬に属し、「プロピオン系」の薬剤として分類されます。

CRP(シー・アール・ピー)

感染症や関節リウマチなどの炎症性疾患を罹ったとき血液中に増加してくるたんぱく質で、C-反応性たんぱく(C-reactive protein)の略称です。炎症が重症化するほど高値を示し、診断や治療経過における炎症の程度の指標として用いられています。

GOT, GPT(AST, ALT)

ともに、トランスアミナーゼと呼ばれる生体組織に広く分布している酵素ですが、肝臓に傷害が起きると血液中に漏出して検出される量が増加するため、肝機能検査の指標として用いられます。最近では、AST, ALTと呼びます。肝臓病のみならず、副作用として肝臓に傷害を与える薬もあるため、薬を長期にわたって服用する際には、定期的にこの値をモニターする必要があります。
◆GOT(AST)基準値:10〜40単位
◆GPT(ALT)基準値:5〜45単位

シェーグレン博士(ヘンリック・シェーグレン)

スウェーデンの眼科医であったヘンリック・シェーグレン博士(1899-1986)は、眼乾燥症(ドライアイ)の患者さんが、関節リウマチを同時に患っていることが多いことに気づきました。さらに、口腔乾燥症(ドライマウス)を発症していることが多い点にも気づき、これら一連の乾燥症状が関節リウマチなどの全身性疾患の一症状であることを学位論文にまとめました。この業績が後に評価され、疾患名には彼の名が付けられました。

シェーグレン症候群の患者数

シェーグレン症候群の患者数は約7万8千人ですが、専門医の間では、実際の患者数は30万人位ではないかとの意見もあります。
※厚生労働省発表(2003年)

シェーグレン症候群専門医

シェーグレン症候群の臨床症状には様々なものがあるため、専門医の診療科も複数にわたっています。具体的には、内科系(膠原病内科、リウマチ内科、血液内科、一般内科等)、眼科、皮膚科、耳鼻科、歯科・口腔外科などに専門医がいますが、医療機関によって状況は異なっています。詳細については、当サイト「シェーグレン症候群専門医リスト」をご参照下さい。

シェーグレン症候群-病期 I

原発性シェーグレン症候群(膠原病の合併がないシェーグレン症候群)のうち、涙腺、唾液腺等の腺組織にのみ病変を有する状態のことです。すなわち、乾燥症状のみを発症している状態です。原発性シェーグレン症候群の約50%がこの状態に相当しています。

シェーグレン症候群-病期 II

原発性シェーグレン症候群(膠原病の合併がないシェーグレン症候群)のうち、涙腺、唾液腺等の腺組織以外にも病変を有する状態のことです。すなわち、乾燥症状以外の症状、臓器病変を発症したり、検査値異常を示す状態です。原発性シェーグレン症候群の約50%がこの状態に相当しています。

シェーグレン症候群-病期 III

原発性シェーグレン症候群(膠原病の合併がないシェーグレン症候群)のうち、涙腺、唾液腺等の腺組織の病変(乾燥症状)以外の病変として、リンパ系の腫瘍を伴っている状態のことです。原発性シェーグレン症候群の約1%がこの状態に相当しています。

耳下腺腫脹

耳下腺(耳の前下方にある唾液分泌腺)が腫れ上がっている状態で、おたふく風邪様に顔面(ほお)が膨れることもあります。シェーグレン症候群の乾燥症状にともなって現れることがあり、シェーグレン症候群では、ウイルスに対する免疫が成立して再発しないおたふく風邪とは異なって、腫脹が繰り返し起るのが特徴です。

色素沈着

皮膚の紅斑、発疹などが治癒した後に皮膚に残る褐色の色素沈着のことです。

シクロオキシゲナーゼ(COX)

生体内でアラキドン酸からプロスタグランジン(炎症の四大徴候である局所の発赤、熱感、腫脹、疼痛を生じる物質)が合成される際に関与している酵素の一つで、COXはシクロオキシゲナーゼの略称です。非ステロイド性抗炎症薬は、この酵素反応(シクロオキシゲナーゼの作用)を阻害することでプロスタグランジンの生成を抑制し、炎症や痛みを抑えるという共通の作用機序を有しています。

シクロスポリン

免疫を抑制する薬剤で、臓器移植後の拒絶反応の抑制や一部の自己免疫疾患に使用されています。抗リウマチ薬に属します。

ジクロフェナクナトリウム

非ステロイド性抗炎症薬に属し、「フェニル酢酸系」の薬剤として分類されます。

シクロフォスファミド(サイクロフォスファミド)

大量療法は血液悪性腫瘍の化学療法に使われますが、免疫を抑制する作用を有するために、自己免疫疾患でも大量療法や小量療法が行われることがあります。

自己抗体

自己免疫疾患でよく見られます。自分の組織(自己)に対する抗体のことで、いろいろな種類があります。「非自己」と「自己」との識別の調節機構に異常をきたしている自己免疫疾患では、自分の組織(自己)に対しても免疫が作動するようになり、本来ないはずの自分の組織(自己)に対する抗体が産生されるようになります。これが血液中に検出されるようになるため、重要な診断項目となります。

自己免疫疾患

自分自身の組織(自己)に対して免疫系が誤って反応するようになってしまい、そのためにその組織が損傷を受ける疾患のことです。免疫は本来、「自己」と「非自己」を識別し、「非自己」のみを攻撃・排除するように作用していますが、これらの免疫系の調節機構に異常をきたすことで自己免疫疾患が発症します。シェーグレン症候群も自己免疫疾患の一つであり、異常な免疫作用で分泌腺や他の臓器などが損傷を受けるために様々な障害が発生します。

自己免疫性肝炎

肝臓に対して自己の免疫細胞が攻撃をかけ、そのことが原因で肝障害が生じる疾患です。肝臓に持続性の障害が生じ、しばしば他の自己免疫疾患を合併することが知られています。シェーグレン症候群に合併をすることがあります。

Sicca(シッカ)

「乾燥」を意味します。口腔乾燥症(ドライマウス)及び眼乾燥症(ドライアイ)という代表的乾燥症状の他、鼻腔の乾燥、気管粘膜の乾燥など、様々な乾燥症状を呈することがあるシェーグレン症候群のことを、以前はSicca syndromeと呼ぶこともありました。

Schirmer試験(シャーマー試験もしくはシルマー試験)

涙の分泌量を測定する試験で、涙腺の機能を評価します。実際の測定にあたっては、試験用のろ紙をまぶたにはさみ、5分後に試験用の紙を外して、涙で濡れた部分の長さを測定します。この試験方法により、涙で濡れた部分が5mm以下の場合は、異常(眼乾燥症:ドライアイ)と判定されます。シェーグレン症候群の診断に有用な方法であり、診断基準の一項目になっています。

若年性関節リウマチ

一般に、16歳以下の子供に発症する関節炎のことです。病態の特徴から、繰り返す高熱とリウマチ疹(米粒大の発疹)を特徴とする「全身型」、関節リウマチと似た症状を呈する「多関節炎型」、単一部位の関節炎を起す「少関節炎型」に大別されます。一括して小児慢性関節炎とも言われます。成人の関節リウマチに移行することがあり、成長期に治療を要するということもあり、用いる薬剤の吟味など長期的視点に立った専門医の治療プログラムが必要となります。

人工関節置換術

関節リウマチの手術の中で最も多く行われている手術です。この手術では、病気の進行で破壊された関節を切除し、人工関節を埋め込みます。適応は、薬物をはじめとした他の治療法が無効な難治性の場合が中心となります。

人工唾液

スプレー式の液体で、シェーグレン症候群による口腔乾燥症(ドライマウス)などに使用されます。

人工涙液・点眼薬

眼乾燥症(ドライアイ)に対して、涙液の補充や眼の表面を保護する目的で使用されます。

腎尿細管性アシドーシス

腎臓の尿細管と呼ばれる電解質調節を行っている器官に異常をきたし、体内の電解質バランスが崩れる状態の疾患です。実際の症状としては、低カリウム血症による筋肉の障害、骨の障害などが現れます。様々な原因で生じる疾患ですが、シェーグレン症候群に合併することがあります。

心膜炎

心臓の外膜に炎症が生じる疾患で、症状としては発熱、胸痛、動悸・息切れなどがあります。ウィルスや病原菌が心膜に感染した場合や自己免疫反応で起ります。シェーグレン症候群に合併することがあります。

ステロイド関節内投与

少量の副腎皮質ステロイド剤を患部(関節内)に直接注入する治療法です。1回注入したら、次回の投与までに2〜4週間の間隔をあける必要があります。局所的な効果が高まる治療法です。

ステロイドパルス療法

超大量の副腎皮質ステロイド剤を短期間投与する方法です。具体的には、メチルプレドニゾロンを3日間連続で1000mgを点滴注射します。2〜3回繰り返すこともあります。強い抗炎症効果と免疫抑制効果があります。

ステロイド(ステロイドホルモン)

化学的にステロイドと呼ばれる構造を有する化合物の総称で、ホルモンとしては、男性ホルモン、女性ホルモン、副腎皮質ホルモン(副腎皮質ステロイド)などがあります。

スリンダク

非ステロイド性抗炎症薬に属し、「インドール酢酸系」の薬剤として分類されます。

整形外科

骨格系の疾患を診療する外科ですが、日本では歴史的に関節リウマチを専門に診療している医師が多くいます。

生検(せいけん)

診断のために組織の一部を採取して顕微鏡による病理組織学的検査を行うことです。英語のバイオプシー(Biopsy)と呼ぶこともあります。顕微鏡による詳細な調査によって、より精密な診断が可能となります。シェーグレン症候群でも、より正確な診断をするために、口唇小唾液腺組織や涙腺組織の小片を顕微鏡で検査することが必要です。

性交痛

シェーグレン症候群の患者さんに性交痛の原因となる膣乾燥を訴える方が多くいますが、更年期障害やエストロゲンの減少など様々な原因で生じる症状ですので、原因の鑑別が必要です。

赤沈値(赤血球沈降速度)

膠原病をはじめとした様々な炎症性疾患で値が上昇することが知られているため、この検査値が診断や治療経過における炎症の程度の指標として用いられています。炎症以外でも高値を示す疾患もあります。血液を細長いガラス管の中に入れ、さらに血液が固まらないようにする薬品を加えた状態にして、1時間あたり何mm赤血球が沈んでいくかを測定します。正常値は、男性で2〜10mm/時間、女性で3〜15mm/時間です。現在では炎症性疾患の指標としては、CRPの方が有用です。

セビメリン塩酸塩水和物

シェーグレン症候群の口腔乾燥症(ドライマウス)を改善する新しい薬剤です。唾液腺にあるM3型ムスカリン受容体を刺激することで、唾液の分泌を促進します。

線維筋痛症

全身の広範囲あるいは局所の筋肉が痛む疾患です。全身の18ヶ所に特定の圧痛点があります。慢性的な疲労感をともなうことが多く、不眠や不安感などの精神症状が現れることもあります。日本でも厚労省の研究班が立ち上げられ、患者会も活躍が始まっています。疲労感が生じる点でシェーグレン症候群とは共通点があり、両者が合併することもあります。

腺外性シェーグレン症候群(病期 II〜III)

原発性シェーグレン症候群(膠原病の合併がないシェーグレン症候群)のうち、涙腺、唾液腺等の腺組織以外にも病変を有する状態のことです。すなわち、乾燥症状以外の症状、臓器病変を発症している状態です。原発性シェーグレン症候群の約50%がこの状態に相当しています。

全身性エリテマトーデス

膠原病に属する全身性の炎症症状を起こす自己免疫疾患で、若い女性患者の割合が高い特徴を有します(男性の約10倍)。しばしば、Systemic lupus erythematosusを略してSLEと呼ぶことがあります。鼻の付根部分から両ほおにかけて広がる紅色の皮疹が現れることが多く、ちょうど蝶が羽を広げたような形であることから、蝶形紅斑とよばれています。シェーグレン症候群を合併することがあります。

全身性硬化症=強皮症(きょうひしょう)

皮膚が硬化する膠原病に属する疾患で、四肢末端から症状が発生します。レイノー現象と呼ばれる皮膚の異常症状がよく起るのが特徴です。同時に、全身の臓器にも、線維化とよばれる変化が生じることによって障害が発生します。英語名のSystemic sclerosisを略して、SScと呼ぶこともあります。シェーグレン症候群を合併することがあります。
※レイノー現象:冷感、感情の起伏などに対して四肢の血管が敏感に反応して蒼白になり、次いで紫色になってピリピリしたり、痛んだりする皮膚の血流の障害による症状です。

全身性疾患

病変が特定の臓器、部位・組織に限定されず、複数の箇所で現れる疾患のことです。シェーグレン症候群もこうした全身性の病変を発症する疾患として知られており、眼乾燥症(ドライアイ)や口腔乾燥症(ドライマウス)などの代表的症状の他、様々な病変が報告されています。また、自覚症状が少ないケースもあるため、医師の診察が重要となります。

腺性シェーグレン症候群(病期 I)

原発性シェーグレン症候群(膠原病の合併がないシェーグレン症候群)のうち、涙腺、唾液腺等の腺組織にのみ病変を有する状態のことです。すなわち、乾燥症状のみを発症している状態です。原発性シェーグレン症候群の約50%がこの状態に相当しています。

続発性(二次性)シェーグレン症候群

関節リウマチを含めた他の膠原病を合併しているシェーグレン症候群のことです。一方、膠原病を合併していない場合は、原発性(一次性)シェーグレン症候群と呼びます。両者の割合(原発性:続発性)は、ほぼ1:1であるとされていましたが、近年、シェーグレン症候群の認知度が上がったことにより、原発性シェーグレン症候群の方が2〜3倍多くなっています。

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