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水分や粘液などの体液を分泌する器官のことです。具体的には、目(涙腺)、口腔(唾液腺)、鼻腔、気管、皮膚、消化管、膣口などに存在しており、重要な役割を果たしています。
通常、疾患には個々に定義がありますが、疾患名が明確になった状況のことです。シェーグレン症候群の場合にも、診断に際しての定義があり、いくつかの検査によって確定診断が行われることになります。詳細については、当サイト「診断基準」の項をご参照下さい。
ガムを噛むことには唾液分泌を促進する効果があり、シェーグレン症候群の口腔乾燥症(ドライマウス)に有効です。ただし、シェーグレン症候群の口腔乾燥症(ドライマウス)では、唾液分泌量の減少によって、本来唾液が果たしている口腔内の清浄作用や殺菌作用が不十分になり、慢性的に虫歯などの歯周病になりやすい状態となっています。したがって虫歯を促進する砂糖入りのガムには注意が必要です。虫歯になりにくいキシリトールガムが市販されています。
唾液分泌能の一般的な測定方法としては、ガムを10分間噛み、その間に分泌された唾液を容器に移して測定をします。この試験方法により、唾液分泌量が10分間に10mL以下であった場合には、異常(口腔乾燥症:ドライマウス)と判定されます。シェーグレン症候群の診断に有用な方法であり、診断基準の一項目になっています。同様な検査で、ガーゼを用いて唾液分泌量を測定する「サクソンテスト」という方法があり、いずれかを選択することがシェーグレン症候群の診断基準で規定されています。
治療によって病状が制御され、諸症状がおさまった状態を示します。永続的な寛解(緩解)が得られた状態が治癒ということになります。
涙の分泌減少により、目が異常に乾燥している状態のことです。涙には、目の表面を保護するなどの重要な役割があるために、涙液減少によって様々な障害が生じます。代表的な自覚症状としては、「目がころころする」「目が疲れる」「まぶしい」「目やにがたまる」「悲しい時でも涙が出ない」などがあります。テレビやパソコンを長時間操作した場合などに生じますが、シェーグレン症候群の代表的自覚症状の一つであり、診断する上での重要な要素となっています。
腎臓の器官を形成する尿細管の間にリンパ球を中心とした細胞が浸潤して炎症が起きている状態です。様々な原因で生じる疾患ですが、シェーグレン症候群に合併することがあり、この場合、慢性的な経過(慢性間質性腎炎)をとることが多いのが特徴です。腎尿細管性アシドーシスの原因になります。
肺はたくさんの肺胞組織から形成されていますが、この肺胞と肺胞の間にある間質と呼ばれる部分にリンパ球を中心とした細胞が浸潤して炎症が起きている状態です。痰を伴わない咳が出たり、動くと息切れがしたり、苦しくなったりします。さらに進行すると、間質が硬く線維化した状態になり、肺線維症と呼ばれる状態になります。様々な原因で生じる疾患ですが、シェーグレン症候群に合併することがあります。
辺縁が隆起し中心部は正常の状態で円状に広がる皮疹です。発生部位は、顔面、上肢、背部などで、数ヶ月のうちに痕跡を残さずに消失します。シェーグレン症候群で生じることがある症状です。専門医を受診する必要があります。
関節内には、関節液と呼ばれる透明で粘り気のある液が分泌されていますが、関節リウマチなどで関節に炎症が生じると関節液に様々な変化が現れるため、診断の指標となります。
炎症時には
◆色:不透明になります。
◆粘り気:粘り気が減少します。
◆量:通常よりも増加します。
◆構成成分:細胞数の変化や疾患固有の成分などが検出されます。
関節リウマチの関節痛は、炎症を伴い、体の左右対称性に生じるのが特徴です。また、しばしば関節の骨破壊により変形を起こします。シェーグレン症候群でも、関節リウマチと類似の関節痛が現れることがありますが、関節の変形が生じることはありません。
関節のこわばり、腫脹などの炎症症状を特徴とする自己免疫疾患で、代表的膠原病の一つです。しばしば、関節リウマチ(Rheumatoid arthritis)を略して、RAとも呼びます。全身の関節が多発性かつ左右対称性に侵されるのが特徴です。シェーグレン症候群との関連もあり、関節リウマチの約5人の1人がシェーグレン症候群を合併しているといわれています。
涙の分泌減少(ドライアイ)に伴って、角膜(黒目を中心とした部分)と結膜(白目部分)に炎症が起きる疾患です。乾燥性角結膜炎(Keratoconjunctivitis sicca)を略してKCSと呼びます。シェーグレン症候群の代表的病変として知られており、診断する上での重要な要素となっています。
気管粘膜にある分泌腺の機能低下があるために、気管支内の潤いが不足した状態です。様々な原因で生じる疾患ですが、シェーグレン症候群では自己免疫による腺組織の傷害によって発症することがあり、症状として咳が現れます。
キャンディー(飴)を舐めることには唾液分泌を促進する効果があり、シェーグレン症候群の口腔乾燥症(ドライマウス)に有効です。ただし、シェーグレン症候群の口腔乾燥症(ドライマウス)では、唾液分泌量の減少によって、本来唾液が果たしていた口腔内の清浄作用や殺菌作用が不十分になり、慢性的に虫歯などの歯周病になりやすい状態となっていますので、虫歯を促進する砂糖入りのものはすすめられません。総入歯の場合は問題ありません。
英語のクオリティ・オブ・ライフ(Quality of life)の略で、医学的には、患者さんの「生活の質」を意味します。疾患には、様々な苦痛と障害が伴いますが、これらが軽減されて患者さん自身が何らかの満足感を得ている状況を「QOLが向上した」と言います。近年では、治療効果を判定する項目としても採用されるようになってきており、医学界でもたいへん重要視されている概念です。
リウマチ性疾患の一種で、腰〜背中のこわばり感と痛みで発症し、やがて脊椎が強直して曲げたり伸ばしたりできなくなります。若い男性に多く、ウィルスや細菌の感染の他、遺伝的な素因も強く影響することが言われています。
皮膚が硬化する膠原病に属する疾患で、四肢末端から症状が発生します。レイノー現象※と呼ばれる皮膚の異常症状がよく起るのが特徴です。同時に、全身の臓器にも、線維化とよばれる変化が生じることによって障害が発生します。英語名のSystemic sclerosisを略して、SScと呼ぶこともあります。シェーグレン症候群を合併することがあります。
※レイノー現象:冷感、感情の起伏などに対して四肢の血管が敏感に反応して蒼白になり、次いで紫色になってピリピリしたり、痛んだりする皮膚の血流の障害による症状です。
リンパ節が腫れて悪性リンパ腫と似た病態を示しますが、リンパ腫とは異なり、正常リンパ系細胞が異常に増殖している状態です。シェーグレン症候群に合併することがあります。現在では診断技術が進歩しており、偽リンパ腫という病名は殆ど用いられません。
筋肉にリンパ球浸潤による炎症が生じて、筋肉の痛みや筋力の低下などが現れる疾患の総称です。シェーグレン症候群を合併することがあります。
抗リウマチ薬に属し、抗リウマチ作用が中程度の薬剤に分類されます。通常、投与開始後2〜3ヶ月で効果が現れてきます。経口剤の効力は、注射剤と比べると若干低くなります。
英語のQuality of lifeのことで、医学的には、患者さんの「生活の質」を意味します。疾患には、様々な苦痛と障害が伴いますが、これらが軽減されて患者さん自身が何らかの満足感を得ている状況を「QOLが向上した」と言います。近年では、治療効果を判定する項目としても採用されるようになってきており、医学界でもたいへん重要視されている概念です。
クラッカー、トースト、せんべいなど、乾いた食物が水分の補給なしでは食べにくいという症状のことです。
眼球表面の状態を調べる検査方法で、眼乾燥症(ドライアイ)の診断に用いられます。実際の試験にあたっては、フルオレセインと呼ばれる蛍光色素を点眼し、これを細隙灯顕微鏡で観察します。異常を有する場所が緑色に染色されている様子が確認できるため、眼球表面の損傷具合を評価することができます。シェーグレン症候群の診断に有用な方法であり、診断基準の一項目になっています。
乾燥性角結膜炎(Keratoconjunctivitis sicca)の略称で、涙の分泌減少(ドライアイ)に伴って、角膜(黒目を中心にした部分)と結膜(白目部分)に炎症が起きる疾患です。シェーグレン症候群の代表的症状として知られており、診断をする上での重要な要素となっています。
白血病や悪性リンパ腫などの血液系腫瘍、貧血や血友病などの血液疾患、特殊な感染症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患を専門領域としています。
赤血球、白血球、血小板など、血液中の成分が減少している状態です。様々な疾患で生じますが、シェーグレン症候群でも起ることがあります。
血清(血液から血球成分とフィブリノーゲンというたんぱくを除いた分画)中に含まれるクレアチニンという物質の量のことで、腎機能検査の指標として用いられる値です。値が上昇すると腎機能の障害があります。物質自体は、筋肉中に多く含まれるクレアチンという物質が分解して生成するもので、通常は老廃物として腎臓でろ過されて尿中に排泄されています。ところが、腎臓に障害があると、このろ過機能が低下するため、本来尿中に排泄されるはずのクレアチニンが体内に残るという現象が生じます。
非ステロイド性抗炎症薬に属し、「プロピオン系」の薬剤として分類されます。
膠原病を合併していないシェーグレン症候群のことです。一方、関節リウマチ等の膠原病を合併している場合は、続発性(二次性)シェーグレン症候群と呼びます。両者の割合(原発性:続発性)は、ほぼ1:1であるとされていましたが、近年、シェーグレン症候群の認知度が上がったことにより、原発性シェーグレン症候群の方が2〜3倍多くなっています。
肝臓内に慢性炎症と線維化と呼ばれる組織の変性が生じることで胆汁排泄障害などが生じる疾患です。Primary biliary cirrhosisを略してPBCと呼称することもあります。抗ミトコンドリア抗体(M2)が陽性になります。皮膚のかゆみや黄疸とともに、血中アルカリホスファターゼ値の上昇、ビリルビン値の上昇などの血液検査項目に異常が見られるようになるのが特徴です。また、症状のないものを無症候性PBCと呼び、予後は良好なのが特徴です。シェーグレン症候群に合併をすることがあります。
シェーグレン症候群の患者さんの血液中によく見られる自己抗体の一つです。シェーグレン症候群での陽性率は約70%であり、全ての患者さんに検出されるわけではありません。また、他の疾患でも検出されることがあるため、専門医が他の検査項目の結果などを見ながら総合的に解釈をする必要があります。シェーグレン症候群診断基準の一項目として、この抗Ro/SS-A抗体もしくは抗La/SS-B抗体が陽性であることが盛り込まれています。
シェーグレン症候群の患者さんの血液中によく見られる自己抗体の一つです。シェーグレン症候群での陽性率は約30%であり、全ての患者さんに検出されるわけではありません。他の疾患で検出されることはあまりありませんが、専門医が他の検査項目の結果などを見ながら総合的に解釈をする必要があります。シェーグレン症候群診断基準の一項目として、この抗La/SS-B抗体もしくは抗Ro/SS-A抗体が陽性であることが盛り込まれています。
「非ステロイド性抗炎症剤」、「副腎皮質ステロイド剤」に大別され、それぞれ様々な治療剤が存在しています。炎症は、原因(疾患)の種類や重症度によって様々な病態を示すため、適切な治療剤を専門医が吟味し、治療経過を見ながら投薬の継続や変更・中止などをコントロールすることが肝要です。
自己免疫疾患の患者さんの血液中によく見られる代表的な自己抗体(自分の組織に対する抗体)の一つで、細胞の核の成分に対してできる自己抗体の総称です。シェーグレン症候群と関連する抗核抗体の中に、抗Ro/SS-A抗体と抗La/SS-B抗体があり、診断基準に採用されています。
シェーグレン症候群に見られる症状で、皮膚に紫斑(しはん)と呼ばれる赤色の点状の出血斑が多数現れます。発生部位としては、両足の膝下から足元にかけて現れることが多いのが特徴です。血液中にガンマグロブリンと呼ばれる免疫作用に関係する抗体たんぱくが過剰に産生されて血管に炎症が生じ、この様子が皮膚に現れたのが点状の出血斑です。
唾液の分泌減少により、口腔内が異常に乾燥している状態のことです。代表的な自覚症状としては、「口が乾く」「口内が痛む」「虫歯が多くなった」「飲水が増えた(外出時水筒を携帯する、夜間に飲水のために起きる等)」「乾いた食物が食べにくい」「会話が長く続けられない」などがあります。シェーグレン症候群の代表的自覚症状の一つであり、診断する上での重要な要素となっています。
体の細胞と細胞とを結合させている組織を結合組織といい、この結合組織には膠原線維と呼ばれる成分が含まれています。この膠原線維にフィブリノイド変性や粘液性膨化が生じるという共通の特徴を有する疾患群の総称を「膠原病」と呼んでいます。すなわち、膠原病とは単一の疾患をさすのではなく、病変の成立が共通した組織に生ずる複数の疾患を示しています。古典的膠原病として知られている代表的な疾患として、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、混合性結合織疾患、血管炎などがあります。シェーグレン症候群は、膠原病類似疾患に属し、しばしば他の膠原病を合併するのが特徴です。
関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの膠原病やシェーグレン症候群などの膠原病類似疾患を専門的に診断・治療する診療科です。膠原病は自己免疫疾患ですので、免疫学を専門にしている医師達です。
下口唇の小切開により小唾液腺を採取し、これを顕微鏡下で評価する検査です。英語名lip biopsy(リップバイオプシー)と呼ぶこともあります。唾液腺が自己免疫反応によって損傷を受けるシェーグレン症候群では、この検査によって免疫細胞の一種であるリンパ球が唾液腺組織に浸潤している状態が確認され、グレード(程度)も評価することができます。シェーグレン症候群の診断に有用な方法であり、診断基準の一項目になっています。
免疫作用を担う白血球の一種です。炎症部位に急速に集まって来て体内に侵入した病原菌などの異物(抗原)を取り込んで消化させるという、食作用と呼ばれる機能を有しています。ある程度の食作用を発揮すると自らは死滅してしまいます。
疾患修飾性抗リウマチ薬を意味し、英語のDisease modifying anti-rheumatic drugsを略してディーマーズ(DMARDs)と呼ぶこともあります。一般に、効果が投与後1〜3ヶ月後くらいから現れるのが特徴です。効果は持続し、関節炎の軽減、赤沈値、CRP、リウマトイド因子などの検査所見も改善し、関節外にも有効、直接の抗炎症作用はないなどの共通の性質を有する多くの薬剤があります。古くから使用されている代表的なものに金製剤(金化合物の注射剤)がありますが、現在はメトトレキサート(MTX)が代表薬です。非ステロイド性抗炎症薬が症状の軽減を主目的としているのに対し、疾患の活動性自体を制御する点が大きく異なります。
生体内でアラキドン酸からプロスタグランジン(炎症の四大徴候である局所の発赤、熱感、腫脹、疼痛を生じる物質)が合成される際に関与している酵素の一つで、COXはシクロオキシゲナーゼの略称です。非ステロイド性抗炎症薬は、この酵素反応(シクロオキシゲナーゼの作用)を阻害することでプロスタグランジンの生成を抑制し、炎症や痛みを抑えるという共通の作用機序を有しています。
シクロオキシゲナーゼ(COX)は、生体内でアラキドン酸からプロスタグランジン(炎症の四大徴候である局所の発赤、熱感、腫脹、疼痛を生じる物質)が合成される際に関与している酵素の一つで、さらに分類すると、COX-1とCOX-2という2種類に分けられます。このCOX-2のみを選択的に阻害する薬は、胃腸障害が軽減された新しいタイプの非ステロイド性抗炎症薬として日本でも普及しています。
眼乾燥症(ドライアイ)による涙液不足を補う方法の一つです。具体的には、涙点と呼ばれる鼻側の上下にある涙が排出される穴を、コラーゲンロッドと呼ばれる可溶性(いずれ溶けてしまう性質)で桿状の乾燥コラーゲンを埋め込むことで閉鎖させ、涙液を眼に貯留させます。
作用時間が短いタイプに属する副腎皮質ステロイドです。副腎皮質ステロイドの中では、抗炎症作用、抗リウマチ作用とも弱めです。
膠原病である全身性エリテマトーデス、強皮症(全身性硬化症)、多発性筋炎・皮膚筋炎が同一患者に同時あるいは経過とともに現れる疾患です。英語名Mixed connective tissue diseaseを略して、MCTDと呼ぶこともあります。
和訳すると、「従うこと」ということになりますが、医療界では「正しく指示どおりに服薬をする」ことを示します。すなわち、正しく服薬している状況を「コンプライアンスが良好である」というように表現します。指示通りに服薬することは常に大切ですが、関節リウマチをはじめとした自己免疫疾患では強い作用の薬が処方されることが多いため、特に注意が必要です。また、薬に関しては、主治医もしくは薬剤師に積極的に相談をすることが肝要で、自己判断で中止しないことが大切です。