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治療方法

シェーグレン症候群は、唾液腺や涙腺の何らかの自己免疫反応をもとに起こる慢性炎症性疾患ですが、その正確な発症病理についてはいまだ解明されていません。そのため、現在は病気の原因そのものを取り除くという根本的な治療法は見つかっておらず、現在の治療法としては、病気の進行を抑えたり、症状を和らげるといった対症療法に治療の主眼がおかれています。具体的には口の乾燥目の乾燥に対する治療が主になります。
その他、関節リウマチなどの膠原病を合併している場合には、膠原病の治療が主な治療になります。

口腔乾燥症状の治療

口腔乾燥症状に対する治療は、

● 唾液の分泌促進

● 唾液の補充

● 虫歯の予防と治療

● 口腔のカンジタ症状に対する予防と治療

に分けられます。

● 唾液の分泌促進

唾液分泌を刺激するものとして、シュガーレスガムやレモン、梅干などがあります。また、耳下腺や顎下腺マッサージ等の刺激によって、唾液分泌が促進することが知られています。
内服薬としては、従来より、去痰薬、利胆薬、あるいは漢方薬などが用いられてきましたが、近年、唾液腺細胞を直接刺激して唾液分泌を促す画期的な薬剤である、セビメリン塩酸塩水和物とピロカルピン塩酸塩が登場しました。最近ではこの2剤が最もよく用いられるようになりました。

●口唇小唾液腺の顕微鏡写真

● 唾液の補充

唾液を補充する方法として、人工唾液剤が用いられます。口腔乾燥感があるときに使用するもので、一時的な効果が期待できます。

● 虫歯の予防と治療

唾液は口腔内に潤いを与えて、飲食や会話をスムーズにする作用はもちろんのこと、その他食物の消化作用、粘膜の保護作用、殺菌作用といった重要な働きを有しています。唾液量が減少するシェーグレン症候群では、これらのさまざまな効能がなくなり虫歯になりやすくなるため、口腔内をできるだけ清潔に保つ衛生管理が重要です。水分補給も大切ですが、糖分の入った飲み物やお菓子類は虫歯の原因になるので注意が必要です。

● 口腔カンジタ症

口腔カンジタ症は、口腔内の乾燥によって発病します。含嗽剤によるうがいや抗真菌剤の内服で治療します。

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目の乾燥症状の治療

口腔乾燥症状に対する治療は、

● 涙の分泌促進

● 涙液の補充

● 涙の蒸発防止

● 涙の排出抑制

に分けられます。

● 涙の分泌促進

涙の分泌促進は、唾液分泌促進剤による効果が期待されていますが、現在あまり有効なものがありません。しかし、例えばステロイド剤などによる免疫抑制剤では涙の分泌亢進が見られることがあります。

● 涙の補充

目薬などの人工涙液の補充を充分行うことによって乾燥性角結膜炎の増悪を防ぐことが可能ですが、1日に何回も点眼する患者さんの場合、防腐剤による角膜上皮障害がおこる可能性があります。これは乾燥性角結膜炎により、涙による洗浄効果が弱いため防腐剤が眼部に残留しやすくなるためです。従って、防腐剤が入っていないタイプの点眼剤がお勧めです。ただし、防腐剤無添加の点眼剤は、汚染に対する注意が必要です。
また、シェーグレン症候群では、涙量が少ないだけでなく乾きやすいため、保湿効果のあるヒアルロン酸を含有した点眼剤も併せて使用すると効果的です。粘調性があり、人工涙液よりも長く眼表面に留まります。
さらに、自身の血液を採取して、血清成分を分離して作る血清点眼があります。血清中には涙液中に含まれるアルブミン、成長因子などのたんぱく質、ミネラル、ビタミンなど多くの物質が含まれています。水分の補給とともにこれらの成分を補給することで、角膜上皮障害の治療に非常に効果的です。どのような目薬を使うのがよいかは主治医に相談して下さい。

● 涙の蒸発防止

涙の蒸発を抑えるドライアイ用のメガネがあります。メガネのふちにカバーがつたものやさらに水分を補給するために濡れたスポンジをつめられるようになっているタイプのメガネを着用することで、涙の乾燥を防ぎます。

レンズのフレームから耳かけの部分にかけてビニールのカバーがついています。最近花粉症の人が付けるメガネと同類のものです。

ドライアイ用メガネ

● 涙の排出抑制

涙の排出口である涙点にプラグを差し込んだり、手術的に閉鎖することで、鼻に抜ける涙液の量を減らし、眼表面に涙液をためる治療法です。
涙点プラグには、シリコンタイプと3ヶ月ほどで溶けてしまうコラーゲンタイプがあります。その他に涙点を手術的に閉じる方法があります。プラグにも手術にもいろいろな種類がありますので、眼科医によく相談して下さい。

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