シェーグレン症候群は原因も複雑であれば、現れてくる症状・徴候も複雑です。
従って、たったひとつの検査で診断できるようなものではなく、いくつかの検査を組み合わせて診断の精度を高め、総合的に判断します。
検査には大きく分けて以下の4つがあります。
口唇腺や涙腺の組織のごく一部を採取し、顕微鏡を使ってリンパ球侵潤を観察する検査です。
唾液の分泌量が少ないことを客観的に確認する検査です。
涙の分泌量が少ないことを客観的に確認する検査です。
血液を採取し、その中に特殊な自己抗体が出現しているかを確認する検査です。
診断基準にあるように、この4項目のうちのいずれか2項目以上が陽性であれば、シェーグレン症候群と診断されます。
病理組織検査には口唇腺と涙腺の生検検査があります。
下唇を小さく切開してそこにある粟粒大の組織を採取し、顕微鏡で観察します。
上まぶたにある涙腺の一部を採取し、顕微鏡で観察します。
口唇腺、涙腺組織のいずれかで4mm²あたり1focus(導管周囲に50個以上の単核細胞の浸潤)を判定の基準とし、この浸潤巣が4mm²内に少なくとも1個以上ある場合を生検陽性所見とします。
唾液の分泌量を評価する検査として、ガムテストとサクソンテストがあります。
また、唾液腺の状態や機能を評価する検査には、唾液腺造影、唾液腺シンチグラフィーがあります。
無味のガムを10分間噛み、その間に分泌された唾液を小容器に集め測定します。集めた唾液の量が10mL以下であると唾液分泌が低下している、すなわちガムテスト陽性と判定します。
乾燥したガーゼを2分間一定の速度で噛み、ガーゼに吸収される唾液の重量を測定して唾液の分泌量を測定します。ガーゼの重量増加が2g以下の場合、唾液量が少ない、すなわちサクソンテスト陽性と判断します。
頬の内側の粘膜の奥の方にある唾液腺開口部(ステノ氏管)から造影剤を注入し、唾液腺の異常を検出するX線検査法です。
シェーグレン症候群に特有な唾液腺組織、特に導管の変化を明瞭にとらえることができる有用な診断方法の1つです。
人体に影響の少ない微量の放射性同位体を注射してその分布を撮影する画像診断法の1つで、大唾液腺の機能評価に用います。この放射性物質は数分で唾液腺に移行するため、注射直後より特殊な高感度カメラを用いて頭頸部を連続的に撮影し、放射性物質の集積状態を観察します。
シェーグレン症候群では唾液腺や口中への放射性物質の移行の遅れや、集積がない等の異常所見が認められます。
ドライアイの検査として、涙の分泌能を評価するシルマー試験、角結膜上皮の障害の程度を評価するローズベンガル試験と蛍光色素検査があります。
先端を5mm折り曲げた専用の濾紙を下まぶたに挟まるように5分間かけ、涙でぬれた長さを測定します。その長さが5mm以下の場合、シルマー試験陽性と判断します。
赤い色素のローズベンガルや蛍光色素のフルオレセインを点眼し、それぞれの色素で染まった角結膜の状態を細隙灯下で観察します。ドライアイでは結膜または角膜が障害されているため色素による染色が認められます。シェーグレン症候群の場合、ローズベンガル試験や蛍光色素試験で高い陽性値を示します。
●乾燥性角結膜炎の検出
自己免疫疾患では、血液中に自分の体に対する自己抗体が認められます。
シェーグレン症候群では、特に関連の強い抗体として、抗SS-A/Ro抗体とSS-B/La抗体が注目されており、この陽性率が診断の根拠となります。