トップページ > 病気の基礎知識 > シェーグレン症候群の症状
シェーグレン症候群と診断をされている100名の患者さんに自覚症状に関するアンケートを行った結果です。グラフが示すとおり、多様な症状を示す病気であることがわかります。 ただし、合併している病気や加齢による症状なども含まれていると考えられるため、これらがシェーグレン症候群による症状かどうかは専門医による鑑別が必要です。
● 口が渇く
口が渇くと訴える方は90人と、非常に多くの方に見られる症状です。
詳細は口の乾燥症状をご確認下さい。
● 涙が出ない
約70人の方が、涙が出ないと訴えています。
詳細は眼の乾燥症状をご確認下さい。
● その他乾燥症状
鼻が乾く、頭の毛が抜けやすい、皮膚がかさかさするという訴えが見られます。
● 精神・神経症状
疲れやすいと訴える方が80人を超えています。その他に頭痛、集中力低下、よく気分が変わる、鬱病になったことがあるということを訴える方がそれぞれかなりのパーセントあることがわかります。
● 疲れやすい
疲れやすいという症状は多いですが、他の要因の可能性もあり、すべてがシェーグレン症候群によるものかどうかはわかりません。しかし、実際にはこの症状を訴える方が実に多いという点からシェーグレン症候群の注目すべき症状と考えられます。
● 関節が痛い
多くの場合、複数の関節が痛む症状があらわれます。しかし、シェーグレン症候群だけによる関節の痛みの場合には割合軽度であり、関節の破壊、骨の変形などの関節リウマチに見られる重症病変になることはありません。
ただし、関節リウマチに合併したシェーグレン症候群に関しては、関節の問題は大きな問題になります。
関連情報:リウマチの症状チェック ※外部サイト「リウマチら・ら・ら」
● 夜中にトイレに起きる
「夜中にトイレに起きる」という症状は、腎臓の病変として間質性腎炎が起こるときの1つの症状です。
シェーグレン症候群の患者さんの場合は年齢が中・高年の場合が多く、加齢による症状の可能性があるために、病気が腎臓にまで至っているのかどうかは鑑別を要します。
● 咳がよく出る
気管粘膜の乾燥以外に、シェーグレン症候群の約10%が間質性肺炎を合併するので、それによる症状の疑いがあります。
● 胃の症状
萎縮性胃炎という病変がシェーグレン症候群に合併することがあり、それによる症状の疑いがあります。
● レイノー症状(現象)
レイノー症状(現象)とは、寒いときに指が白くなって痛くなったり、しびれたりする症状です。
膠原病や他の疾患でレイノー症状(現象)が起こることが多いので、シェーグレン症候群による症状であるかどうかは鑑別を要します。
● 性交時不快感がある
膣の乾燥によって生じていることが考えられますが、更年期障害やエストロゲン欠乏による影響も大きいと考えられます。
以上のように呼吸器疾患や肝臓疾患、腎臓疾患、筋肉、皮膚、その他の症状がありうるという点が注目されます。
口腔乾燥症(ドライマウス)は、以下のような自覚症状として現れることが多いことがわかっています。
● 唾液が出ない
● 口が渇く
● 食べ物がうまく飲み込めない
● 舌にひびわれができる
● 味がよくわからない
● 虫歯が増えた
● 口内が痛む
その他に口の両端に起こる口角炎、舌乳頭が萎縮して舌がぺらぺらになる、耳下腺が腫れる(耳下腺腫脹)こともあります。
シェーグレン症候群の耳下腺腫脹は、ウイルスが原因の一旦罹ったら二度と罹らないおたふく風邪とは違い、2、3ヶ月や2、3年たって腫脹を繰り返すということが1つの特徴です。
唾液腺には、耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つがあります。 その他に小唾液腺が口内の粘膜下に多数あります。これらが免疫システムによって攻撃を受け、傷害を受けると、口腔乾燥症(ドライマウス)が起こります。
眼乾燥症(ドライアイ)は、以下のような自覚症状として現れることが多いことがわかっています。
● 涙が出ない
● 目が乾く
● 目がコロコロする
● 目が疲れる
● 眩しい
● 目に痛みがある
● 目やにがたまる
● 物がゆがんで見える
自分で涙が出ないということを自覚しなくても、例えば「目がコロコロする」というような感覚で、目の調子が悪いと訴える方も多いです。
正常な目の場合、目の表面は涙の膜(涙膜)で覆われ、内側の角膜を保護しています。
まばたきによって目の表面に涙の膜が作られ、しばらくたって目が乾いて涙の膜が破れると、まばたきをして角膜の表面に涙膜が作られます。
シェーグレン症候群では、涙の量が少ないために、まばたきをして涙膜が表面に貼られてもそれがすぐに破れてしまいます。そのため、角膜の表面が外気にすぐさらされて角膜の表面の細胞組織が障害されて、目の症状が起こってきます。