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第10回国際シェーグレン症候群シンポジウム・国際シェーグレン症候群患者会レポート

監修者の菅井進先生の第10回国際シェーグレン症候群シンポジウム・国際シェーグレン症候群患者会レポートです。

第10回国際シェーグレン症候群シンポジウム
「全身性IgG4関連疾患」

2009年10月1日‐3日にフランス、ブレストでシェーグレン症候群国際シンポジウムが開催されました(日本では第4回(1993年)東京、第8回(2002年)金沢が開催されました)。47カ国、約400人が出席し、シェーグレン症候群の研究、診断、治療に関する最近3年間の進歩が発表され、熱い討論が行われました。
この中で最も注目されたのは日本からの診断に関する2題(札幌医科大学(高橋先生),金沢医科大学(正木先生))の発表でした。それは日本から世界に初めて発信される新しい疾患概念で「全身性IgG4関連疾患」というものです。
涙腺、唾液腺が腫れる疾患は日本ではミクリッツ病として存在し、欧米ではシェーグレン症候群の一亜型とされてきましたが、これが、

● シェーグレン症候群ではないこと
● 涙腺と唾液腺だけが腫れるミクリッツ病だけでなく、全身のあちこちの臓器に障害を起こすこと
● IgG4という免疫蛋白が高値を示すこと
● ステロイドの中等量の治療が非常によく効くこと

という発表です。
最初の高橋准教授の30分の発表と30分の討論では15人から質問があり、次の正木准教授の発表も反響がありました。今回欧米で初めて全面的に好意的に受け入れられ、この日が新しい疾患の誕生日だと言われました。日本にしかない病気だとか、冷たい反論が出るのではないかという我々の心配も杞憂に終わりました。この疾患は我々よりも早く、自己免疫性膵炎という疾患が日本から発信されて同じIgG4関連疾患として世界で認められています。日本では現在「IgG4研究会」を中心に自己免疫性膵炎を含め「IgG4関連疾患」の研究が世界をリードして行われています。今まで涙腺と唾液腺の腫れる疾患がシェーグレン症候群と診断されていたケースがあると思いますが、今後はその方々に早く正しい診断が行われ、適切な治療が行われますので抜群に良い結果となると思います。

国際シェーグレン症候群患者会

第10回国際シェーグレン症候群シンポジウム(フランス)に付随して国際患者会がフランス患者会AFGSの強いリーダーシップで行われました。
国際患者会は金沢でも4ヶ国が参加して行われたのですが,今回は12カ国が参加して英語で各国の状況を発表し、お互いの理解を深めました。サリグレン、エボザックがヨーロッパでは認められていないことや、医師の理解が少ないことなど、それぞれの共通する悩みが話されました。
とりわけアメリカ患者会SSFが最も大きく資金力でも強い患者会で、さまざまな会を国内のあちこちで行っています。医師の学術集会とも強くつながり、患者会としてのいろいろの運動を推し進めています。オランダもしっかりやっていますが、日本も他の国に比べてしっかりやっている方だと思いました。日本からは関 幸子さん、吉川絢子さんが出席されました。その報告はシェーグレン症候群ホームページに載っています。
国際患者会は今後情報交換をアメリカのSSFとの協力で継続し、2年後のギリシャ、アテネでのシンポジウムでも患者会を開くことを確認しています。また、日本からの出席が要請されると思います。

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